トライアドコードを中心とした簡単なコード理論の説明です。理論の苦手なギタリストでもわかるよう「6弦ルート型」と「5弦ルート型」やメジャーコードとマイナーコードの違いなどを画像や音源を使って紹介しています。
なお、基本的なコード理論を順を追って説明するため、次の5つのコンテンツに分けて書いてあります。より理解を深めたい方は順番に見てもらえると良いと思います。
予備知識
まず、予備知識として、「ドレミファソラシ」=「C D E F G A B」ということは押さえておいてください。両者はそれぞれイタリア語と英語の表記であり、意味は一緒になります。
そして、それぞれの音を基準として構成される和音をコードといいます。
指板上の音の配置と規則
ギターの指板上の音の配置は上の図のようになっています。縦線がフレットを表し、左から右に向けて0フレット(ナット部分)~12フレットに対応しています。また横線が弦を表し、上から下に向けて1弦~6弦に対応しています。ギターを倒し指板を上から見たような形です。0フレットと12フレットの音の並びが同じであることからわかるように、12フレット周期で1オクターブうえの同じ音の並びが繰り返し、1フレット=13フレット、2フレット=14フレット…と続きます。
音名が飛んでいるところはピアノでいう黒鍵=♯(♭)です。例えばCの右隣は音名が飛んでいますが、ここはC#(D♭)です。同様にAの右隣はB♭(A#)になります。
また、指板上の音の配置にはいくつかの規則があります。一番初めに覚えてもらいたいのが、1オクターブ飛んだ同じ音の位置です。
ギターでは、構造上1オクターブ上の同じ音の位置には規則があります。6弦と5弦では画像右の2つのような形になり、4弦と3弦では左の2つのような形になります。実際に指板を押さえてもらうと違いがわかると思います。いろいろな音や弦で試してみてください。
ギターコードを学ぶ上では4~6弦の音の配置を覚える必要がありますが、この規則を知っていれば5・6弦の音の配置だけ覚えてしまえばよいということになります。
メジャートライアドコードとマイナートライアドコード
トライアドコードとは三つの音から成り立つコードで、メジャートライアドならCやDなど、マイナートライアドならCmやDmなどのことを言います。ほとんどのコードはここから派生してできていますので、しっかりと覚えてください。
度数とインターバル
本題に入る前に、ここからの重要キーワードである「度数」と「インターバル」の意味を理解しておいてください。
まず、度数というのはルート音(基準となる音)から数えた音の順番のことをいいます。例えばルート音がCの場合、Dは二番目の音なので二度、Eは三番目の音なので三度の音になります。表記の仕方として、二度なら2nd、三度なら3rdというようにする場合もあります。
次に、インターバルというのは二音間の音の距離のことをいいます。これは次から詳しく説明していくのでなんとなくわかってもらえれば大丈夫です。
メジャートライアドコードの構成音
下図の円で囲まれた音がCコードの構成音です。ここではそれ以外の音は無視してください。
Cをルート音とし、三度の音であるEと、五度の音であるGの三つの音で構成されています。また、メジャートライアドコードの三度、五度の音までのインターバルは、三度までは全音二つ分、五度までは全音三つと半音ひとつ分となっています。
マイナートライアドコードの構成音
次にCmコードの構成音を見てみます。
ルート音と五度の音は一緒ですが、三度の音が半音下がっています。
このように、メジャートライアドコードはルート音、三度の音、五度の音から構成され、マイナートライアドコードはメジャートライアドコードの三度の音を半音下げた三音(三度までのインターバルが半音短く五度までのインターバルは同じ)で構成されています。前者の全音二つ分のインターバルのある三度を長三度、後者の全音と半音分のインターバルのある三度を短三度と表します。
この三度の音までのインターバルの長短により、コードの明るさが決定され、長三度のコードは明るく、短三度のコードは暗い感じの響きになります。
指板で見るメジャーとマイナーの違い
コード理論が視覚的にわかりやすいようハイポジションでのコードフォームで説明していきます。
ギターでは構造上フォームを変えるだけでいろいろなポジションで同じコードを鳴らすことができます。そのため、たとえばCコードなら「ローポジションのC(ナット側)」や、「ハイポジションのC(ボディー側)」といったような区別をします。これらは用途に合わせて使い分けていくことになりますが、構成音は同じであるため、ここではわかりやすさの観点からハイポジションで説明していきます。また、理論が理解できれば良いので、コードが押さえられなくてもかまいません。
まずは先ほどのCコードを指で押さえられるよう指板上に配置すると次のようになります。注目したいのがコードフォームに対する度数の位置関係です。
このコードをCmにするには、先ほどの説明より、三度を半音下げます。メジャーコードとマイナーコードの違いはこれだけです。
5弦ルート型と6弦ルート型のコード
ここまでの説明では6弦にルートのある6弦ルート型のコードの説明をしてきました。ギターでは良く使うコードとして、5弦ルート型のコードも覚える必要があります。セブンスコードやテンション音のついたコードなど、楽譜で見るほとんどのコードはこの二つの「型」を基にして作られています。
下の図がこれまでで出てきた6弦ルート型のメジャートライアドコードとマイナートライアドコードです。
5弦ルート型のトライアドコードの構成音の配置はこのようになります。
5弦ルート型のコードでもルートを弾きたいコードのルート音に合わせることで変化させることができます。ルートを合わせるとは、基本的には一番低弦側のルートを弾きたいコードのルート音に合わせることをいいます。
コードの横移動
ギターは一つのコードフォームを横方向にずらしていくだけで色々なコードに対応できます。ポイントはルート音で、例えばGが弾きたい場合には先ほどのCコードを次のようにずらしていきます。
簡単なコード進行で確認
最後に簡単なコード進行を実際に弾き、今回出てきた「型」や知識の復習をしてみます。例として 、C - Am - Dm - Gというコード進行をどのようにして型に当てはめていくのかを見ていきます。なお、あえてローコードは使っていません。
手順1. ルート音の確認
まずはそれぞれのコードのルート音がどこにあるのかを確認します。
手順2. 「型」とメジャー・マイナーの確認
ルート音が5弦か6弦かによって型が決まります。また、同時にメジャーかマイナーかも見ていきます。
C ・・・ 5弦ルート、メジャー
Am ・・・ 6弦ルート、マイナー
Dm ・・・ 5弦ルート、マイナー
G ・・・ 6弦ルート、メジャー
手順3. 音色の確認
別ウィンドウで開くもっと高かったり硬い音を求めているならブリッジ側で手順1.のルート音を探してみます。
手順2.と3.をもう一度繰り返し、音色の確認をしていきます。
別ウィンドウで開く慣れてくるとこれらの作業は一瞬で終わります。例えば歌詞とコードだけの譜面でも簡単な曲であれば練習せずに一曲弾けてしまいます。このやり方は、型とルート音の位置さえ覚えてしまえばあとはスムーズにコードチェンジをするための反復練習だけですのでおすすめです。
まとめ
- トライアドコードとは三つの音から成り立つコードで、セブンスやテンションコードなどはこれを基に作られる。
- このトライアドコードには、2つのフォーム、「6弦ルート型」と「5弦ルート型」がある。
- メジャーコードとマイナーコードの違いはルート音から3度の音までのインターバルの違い。