ケーデンスはコード進行のルールのようなものです。クラシック畑の人は、カデンツと呼んでいました。
トニック、ドミナント、サブドミナントの3つの性質
ダイアトニックの各コードにはおおまかに分けて3つの性質があります。下記の表を見てください。
T(tonic) | 始まりや終わりに使用されるコード |
---|---|
D(dominant) | 不安定で緊張感のあるコード |
S(subdominant) | dominantを装飾するコード |
ダイアトニックコードを上記3つに振り分けると下記のようになります。カッコ内はCメジャーダイアトニックの例です。マイナーのダイアトニックも考え方は同じです。
T | Ⅰ(C)、Ⅲ(Em)、VI(Am) |
---|---|
D | Ⅴ(G)、※[Ⅶ(Bm-5)] |
S | Ⅱ(Dm)、IV(F) |
※Ⅶ(Bm-5)はあまり使われません。
ここで抑えたいのは、同じ性質のコードは互いに置き換えられるという点です。例えば、Ⅰ(C) → Ⅴ(G) → Ⅱ(Dm)というコード進行があった場合、Ⅲ(Em) → Ⅴ(G) → IV(F)に置き換えられるということです。
ケーデンスの法則
コードの性質は上記のような具合で、これらを組み合わせたコード進行のひとつのまとまりをケーデンスといいます。ケーデンスにはおおまかに分けて下記のような法則があります。
- TはS、Dへ進める。
- SはT、Dへ進める。
- DはTへは進めるが、Sへは進めない。
DからSは進めないと書いてありますが、実際にはDからSに進むことは、ポップスなどではよくあります。
ケーデンスは服装で言えば、スーツのようなもので、上記のようなD → Sは着崩しのようなものだと習いました。
分かっている上で、違反するということですね。校則のビシッとした着方を知ってるけど、オシャレをする為に着崩す。高校生の頃を思い出しますね。そんな感じです。
ケーデンスの使用例
色々とコード進行を見てみましょう。
T - S - T - S
Ⅰ - Ⅳ - Ⅰ - Ⅳというコード進行です。どんな感じがするでしょうか?僕はのどかな感じがします。
T - S - D - T - T - S - D - T
Ⅰ - Ⅳ - Ⅴ - Ⅰ - Ⅳ - Ⅴ7 - Ⅰというコード進行です。Ⅰ、Ⅳ、ⅤはそれぞれT、S、Dの機能が強いため「主要三和音」と呼びます。それを使った、基本的な進行といった感じですね。ケーデンスも守られています。ドミナント7thの響きにも着目してみましょう!
T - D - S - D
Ⅰ - Ⅴ - Ⅳ - Ⅴという部分でT - D - S - Dとなっています。ケーデンスから言えば、Dominant - Subdominantの流れは違反ですが、実際にこのコード進行は多くの曲で使われています。
T - D - T - T - S - D
キーA♭で、Ⅰ - Ⅴ - Ⅵm - Ⅲm - Ⅱm - Ⅴ7というコード進行です。Ⅱm、Ⅲm、Ⅵm、Ⅶm(♭5)は主要三和音に対して「副三和音」と呼ばれます。